マラソンの記録を伸ばしたいなら、走る距離を増やすべきか。それとも、筋トレにも時間を使った方がいいのか。

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筋トレをすると、走りはどう変わる?

ランニングでは、着地のたびに身体を支え、次の一歩へ進むための力を発揮しています。

その動きを繰り返すには持久力だけでなく、地面から受ける力に対応する筋力も必要です。

ここで注目したいのが「ランニングエコノミー」という考え方です。

ランニングエコノミーとは、一定の速度で走るときに必要なエネルギーの大きさを表す指標です。同じペースを、より少ないエネルギーで維持できれば、長距離を走るうえで有利になります。

筋力トレーニングは、このランニングエコノミーを改善する方法の一つとして研究されています。

ただし、筋力が強くなれば必ずタイムが速くなるわけではありません。走る練習との組み合わせや、それまでのトレーニング経験によって結果は変わります。

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研究では、どのくらい効果が確認されている?

31研究・652人を分析した結果

2024年に発表されたメタ分析では、中距離・長距離ランナーを対象とした31研究、合計652人の結果がまとめられました。

高重量の筋力トレーニングや、ジャンプなどのプライオメトリックトレーニング、複数の方法を組み合わせたトレーニングで、ランニングエコノミーの改善が認められました。

特に高重量のトレーニングは、走る速度が速い選手や、VO₂max(最大酸素摂取量)が高い選手で効果が大きい傾向がありました。

一方、すべての筋トレ方法で同じ改善が見られたわけではありません。

この結果は、筋トレの種類によって、走る効率への影響が異なることを示しています。

VO₂maxが上がらなくても、記録は改善する?

同じ2024年に発表された別のメタ分析でも、高重量の筋力トレーニングや複数の方法を組み合わせたトレーニングによって、ランニングの競技成績が改善する可能性が示されました。

興味深いのは、VO₂maxなどの持久力指標には明確な改善が認められなかったことです。

つまり、最大酸素摂取量が変わらなくても、走るパフォーマンスが改善する場合があります。

走力は心肺機能だけで決まるものではありません。筋力や走る効率も、長距離のパフォーマンスに関係しているのです。

なお、これらの研究はトレーニング経験のあるランナーを多く含みます。初心者や市民ランナー全員に同じ効果が出ることを保証するものではありません。

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ランナーが優先して鍛えたい筋肉

筋トレといっても、すべての筋肉を同じように鍛える必要はありません。

ランニングの動作を考えると、特に注目したいのは次の部分です。

お尻・股関節まわり

大殿筋は股関節を伸ばす動きに関わり、中殿筋などは片脚で身体を支える際に働きます。

ランニングは左右の脚で交互に身体を支える運動です。股関節まわりの筋力は、その動作を安定して繰り返すための重要な要素です。

おすすめの種目:スクワット、ヒップリフト、スプリットスクワット

太ももの前と後ろ

大腿四頭筋は膝を伸ばす動きや着地時の力への対応に関わります。ハムストリングスは股関節を伸ばす動きや脚の振り出し・引き戻しに関わります。

片方だけを鍛えるのではなく、前後の筋肉をバランスよく使えることが大切です。

おすすめの種目:スクワット、ルーマニアンデッドリフト

ふくらはぎ・足首まわり

ふくらはぎの筋肉とアキレス腱は、着地から蹴り出しまでの動作に関わります。

走るときには、この部分に繰り返し負荷がかかります。筋力や動きの状態に合わせて、段階的に鍛えたい部位です。

おすすめの種目:カーフレイズ

体幹

体幹は上半身と下半身をつなぎ、走行中の姿勢や動きを支えます。

ただし、腹筋を強くすれば、それだけでマラソンが速くなるわけではありません。脚や股関節のトレーニングと組み合わせて考えましょう。

おすすめの種目:プランク、デッドバグ

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まずは4種目から始めてみよう

筋トレをほとんど行っていないランナーなら、最初から多くの種目を取り入れる必要はありません。

例えば、次の4種目から始められます。

種目主な目的初めの目安
スクワット太もも・お尻8〜12回 × 2セット
スプリットスクワット片脚で支える力左右各6〜10回 × 2セット
ルーマニアンデッドリフトお尻・太もも裏8〜12回 × 2セット
カーフレイズふくらはぎ10〜15回 × 2セット

これは初心者向けの導入例であり、研究で最適と確認された一律の回数ではありません。

最初は自重や軽い負荷でフォームを覚え、動作が安定してきたら少しずつ負荷を上げます。

研究では高重量の筋トレによる効果も確認されていますが、筋トレ未経験の人が最初から高重量を扱う必要はありません。

痛みがある場合は無理に続けず、原因に応じて医療職などに相談してください。

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週何回、どのくらい続ければいい?

一般的な筋力トレーニングの指針では、週2回以上が一つの目安とされています。

ただし、マラソンの練習では走行距離やポイント練習による疲労も考慮する必要があります。

これから筋トレを始める人なら、まず週1回で動作に慣れ、余裕が出てきたら週2回に増やす方法も考えられます。

1回20〜30分程度でも、種目を絞れば始められます。大切なのは時間の長さだけでなく、適切な負荷をかけながら継続することです。

筋トレの効果を調べたランナーの研究では、6週間以上にわたるプログラムが多く用いられています。まずは6〜8週間ほど続けて、筋力や走りの変化を振り返るとよいでしょう。

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ランニングと筋トレ、どう組み合わせる?

走る練習と筋トレを両立するときに注意したいのが、疲労の管理です。

例えば、脚を強く追い込んだ翌日にインターバル走や長距離走を行うと、疲労が残って本来の練習ができなくなる場合があります。

そのため、次のような考え方が役立ちます。

  • 重要なランニング練習の前に、強度の高い脚の筋トレを入れない。
  • 筋トレの翌日は、休養または軽いランニングを基本に調整する。
  • レースが近づいたら、新しい種目や大幅な負荷増加を避ける。
  • ランニングの走行距離と筋トレの負荷を同時に急増させない。

ランニングも筋トレも、それぞれ身体に負荷をかける運動です。

どちらも頑張ることより、重要な練習の質を落とさずに継続できることを優先しましょう。

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筋トレをすれば、ランニングのケガを防げる?

筋トレには筋力を高める効果がありますが、だからといって必ずランニング障害を予防できるとは限りません。

2024年に発表された、9研究・1,904人を対象としたメタ分析では、ランニング以外の運動を取り入れた障害予防プログラム全体として、障害リスクや発生率の明確な低下は確認されませんでした。

一方、指導者の監督があるプログラムに限定した追加分析では、障害リスクの低下が見られました。ただし、研究の質には課題があり、この結果だけで指導を受ければ必ずケガが減るとは言えません。

また、この研究は筋トレだけでなく複数の運動介入を含むもので、筋トレ単独の予防効果を確定したものではありません。

ケガを考える際には、筋力だけでなく、走行距離、負荷の増やし方、疲労、過去の障害なども含めて考える必要があります。

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マラソンに必要なのは、筋肉の大きさではない

筋トレをすると脚が太くなって、走りにくくなるのではないか。

そんな心配をするランナーもいると思います。

しかし、筋力を高めることと筋肉を大きくすることは、必ずしも同じではありません。

筋力の向上には、筋肉量だけでなく、筋肉に力を発揮させる神経系の働きなども関わります。また、筋肥大の程度はトレーニング量や栄養状態などによって変わります。

ランナーの場合は、筋肉を大きくすること自体を目的にせず、走る動作に必要な力を高めるようにトレーニングを組み立てることができます。

ただし、必要以上に体重を減らしたり、食事を制限したりする必要はありません。走る練習と筋トレを両立するには、十分な栄養と回復も重要です。

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速く走るために、走る以外のトレーニングも考える

マラソンの記録を伸ばすには、継続的なランニング練習が欠かせません。

そのうえで、筋力トレーニングを組み合わせることで、走る効率や競技成績の改善が期待できます。

最初から特別なトレーニングを行う必要はありません。

自分の走力や練習量に合わせて、少ない種目から取り入れ、身体の反応を見ながら調整することが大切です。

REFINEでは、ランニングの目的や現在の運動習慣に合わせて、筋力トレーニングの内容を考えることができます。

走る練習を大切にしながら、それを支える身体づくりにも目を向けてみてください。

パーソナルトレーニングについて

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参考文献

  1. Llanos-Lagos C, et al.(2024)Effect of Strength Training Programs in Middle- and Long-Distance Runners’ Economy at Different Running Speeds: A Systematic Review with Meta-analysis. Sports Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38165636/
  2. Llanos-Lagos C, et al.(2024)The Effect of Strength Training Methods on Middle-Distance and Long-Distance Runners' Athletic Performance: A Systematic Review with Meta-analysis. Sports Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38627351/
  3. Wu H, et al.(2024)Do Exercise-Based Prevention Programs Reduce Injury in Endurance Runners? A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38261240/
  4. Currier BS, et al.(2026)American College of Sports Medicine Position Stand. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews. Medicine & Science in Sports & Exercise.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41843416/

本記事は一般的な運動・トレーニングに関する情報です。研究対象や運動経験によって結果は異なり、個人の競技成績やケガの予防を保証するものではありません。